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Iwai Laboratory
Frontier Research Center,
Tokyo Institute of Technology
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Last Update:5th March,2008
シリコン集積回路素子微細化技術の研究

岩井教授はシリコン集積回路(LSI)の創生期である最小寸法が数 mmの1k ビットメモリの時代から現在0.25μmのシステムLSIに至る先端シリコン集積回路の開発に携わり、その課程において素子微細化の研究開発を行って来た。

 研究業績としては、様々な観点から微細化上の問題点を考察し、i)様々な微細化技術を開発することによって、それぞれの世代における集積回路技術の進歩に貢献すると共に、ii) 将来の微細化の指針を示すことによって世の中の中長期レベルの研究開発方針やロードマップの策定に貢献して来たことなどが主な内容である。

 初期の研究結果で論文となっているものはとしては当時のshallow junctionでの問題点となったcontact holeのAl spikeの原因解析が挙げられる[1]。 Alのspike防止策としてはコンタクトホールを介しての不純物の再拡散法を考案し、これにより後に日本発明協会関東地方奨励賞を受賞している。

 その後の業績としてはVLSIの入り口である64kビットDRAMやULSIの入り口である1MビットのSRAMの開発とそれに伴う微細化によって顕在化してきた短チャネル効果など素子のfringing効果(周辺効果やhot carrier効果などの高電界効果に関していくつかの新現象を発見し、これらの現象を明確化しモデル化したことがあげられる。 これら新現象の中にはStanfordで行ったMOSFET Capacitanceの短チャネル効果、P-MOSのDrain avalanche hot hole injection などがある。またcharge pumping法を用いてホットキャリア注入によって発生した固定電荷の空間分布の正確な測定法を開発し、これにより1994年にIEEE EDS Paul Rappaport賞を受賞している。

 これらの世代での最大の関心事は、先ずは素子の微細化が0.1 mmの壁を破って進み、LSIの微細化に基づく発展が継続できるかということであった。このためには、モンテカルロシミュレーションを用いて0.025μmまでの素子の動作と微細化の手法を初めて明確化し、この為に必要な極浅拡散層形成の為に短時間高温個層拡散法を開発し、これを用いて10μmという極めて薄い拡散層を形成し、ゲート長40 nmというdeep-sub-0.1μmの領域のMOSFETを試作し、常温での正常動作を初めて実験的にも確認した。この結果はSIA (Semiconductor Industry Association, U.S.A.) Roadmap作成などに大きなインパクトを与えまた国内では日経BP技術賞大賞を受賞した。

 94年の12月には学会発表で1.5μmのゲート膜でも直接トンネル漏れ電流の影響は無視できるレベルであり、今までと比べ飛躍的高性能、SIA roadmap(1997版)の修正など世の中に再びインパクトを与えた。また以前からCMOSに加えSi bipolar/BiCMOSの微細化/高性能化にも注力しており、CMOS及びBiCMOSの微細化の研究業績に対してIEEEのFellowを授与された。また最近はシリコンLSIのdigital回路応用のみでなく通信用のRF analog front end回路などRFCMOS技術実現のための先駆的研究を行っており、CMOSの微細化、ゲート膜の薄膜化、高周波化などの研究業績に対して第一回電子情報通信学会エレクトロニクスソサエティーエレクトロニクス賞を受賞した。

 また2001年にはCMOS微細化の継続的研究におけるリーダーシップと技術的貢献に対してIEEE EDS J.J.Ebers賞を受賞、2002年には「微細シリコンデバイスに要求される各種高性能薄膜」で第24回応用物理学会論文賞受賞、2005年には「窒酸化シリコンゲート絶縁膜相補形半導体装置」で日本発明協会関東地方発明奨励賞を受賞した。